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2022.02.11(金)
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名義預金

名義預金とは?相続税・贈与税の注意点

名義預金
子供や孫名義の通帳(名義預金)を父母や祖父母が手元に持っていたら…

1.名義預金とは

1)名義預金って、どんな預金?

実際のお金の預金者と口座の名義人が違う預貯金のことです。

 

例えば、お父さんやお母さんが所有しているお子さんの名義の預金です。


これが、おじいちゃんおばあちゃんなら、お孫さん名義の通帳ってことになります。

 

2)ルールに対する認識のズレ

実は、この名義預金には大きな認識のズレがあります。


私たちの常識とルール(相続という法律)との間のズレです。


そのために、相続の現場や相続税調査で混乱が生じてしまっています。

この「大きなズレ」とは何でしょう?


それは、「贈与」に対する認識の”ズレ”に他なりません。

 

3)預金に対するありがちな勘違い

たとえば、親が手元に持っている子供名義の通帳へ、入金を続けていたとします。


この預金って、誰のものだと思いますか?

「わざわざ、私が子供名義の通帳にお金を入れてあげてるんだ。だから、このお金(預貯金は、私から子供に『贈与』してやったものだ。」


もし、そんな風に考えたとしても、まぁ、わからない話じゃありませんよね。

 

それでは、相続人であるお子さん方の立場で考えてみた場合はどうでしょう?


亡くなった親の手元から自分もしくは自分の子供名義の通帳が出てきたとします。


この預金って、誰のものですか?

自分の名義なんだから、これは自分の通帳だなって思いませんか?


これを亡くなった親の財産だっていわれても、ちょっとピンとこなかったりしますよね。

実際の相続現場でも同じように考えてしまうことが少なくありません。


つまり、この預貯金は、私がすでに贈与でもらっていたものだという認識です。


その結果、この預金を相続財産に含めないで申告なんてケースも多く見受けられます。

 

2.名義預金は誰のもの?

1)法律上の所有者は誰か

名義預金は、所有していた人の財産でしょうか?


それとも、通帳の名義人の財産ですか?

 

名義預金は、口座の名義人ではなく、実際の所有者の財産です。


たとえば、相続の場合であれば被相続人の財産、すなわち、相続財産になります。

 

2)贈与したつもりの預金

なぜなら、名義預金は「贈与済み」ではなく、「贈与したつもり」の財産だからです。

名義預金とは、まだ生前贈与が成立していない金銭ということになります。


要するに、あげるつもりで他によけておいたけど、まだあげてない財産なんです。


そのように考えれば、名義預金が誰の財産かは、簡単に判断することができます。

 

3)贈与要件不成立財産

繰り返しますが、名義預金は「贈与要件不成立財産」です。


したがって、贈与できてないんだから、本来の所有者の預金だと判定されるわけです。

 

3.名義預金はばれる?

「名義預金ってバレますか?」よく、そういったご質問をいただきます。

 

1)税務調査ではチェック対象

名義預金に関しては「ばれる」とお考えください。


誤解を恐れず申し上げれば、相続税の税務調査では100%チェックの対象です。 


つまり、調査で調べられたら、名義預金の存在は、ほぼ確実にわかってしまいます。

 

2)相続税調査が行われる時期

相続税の税務調査は、三回忌が終わった頃に行われることが一般的です。


相続が始まってから調査までしばらく時間が空いています。

 

でも、その間、税務署は何もしていないわけではありません。

 

その間に関係各所から資料を取りよせて、事前にいろいろ調べています。


当然、その際に預金に関する事前調査も行われます。

 

課税当局(税務署)には、銀行等の金融機関を調査する権限が与えられています。

 

したがって、調査の際は、金融機関から預金情報を取り寄せることが可能です。

 

そこで、税務署は、通帳の履歴を取り寄せてお金の出入りについて調査します。

 

その際に調べられるのは、亡くなった被相続人の口座だけではありません。

 

配偶者やお子さん、お孫さんの履歴まで金融機関から取り寄せるなんてこともあります。

 

こうして、家族間の資金の移動について調査し、お金の流れに紐を付けてきます。

 

たとえば、「2020年11月15日のお父さん(被相続人)の通帳からの出金200万。近い日付で奥さんやお子さん名義の口座に入金の記録がないだろうか…。」なんて具合ですね。

 

3)税務署が調べる所得の「溜まり」

他にも、税務調査では「溜まり」を調べられます。

 

税務署は、確定申告や年末調整などで、私たち納税者の所得(稼ぎ)を把握しています。

 

ですから、それを積算していくと、大体どのくらいの財産が「溜まっているか?」をある程度、把握することができます。

 

そうした中、ご本人の稼ぎ以上に所得の「溜まり」があったとします。

 

その「溜まり」部分は、家族の誰かから流入してきた財産だろうと推測するわけです。

こういった感じで、相続財産の状況は確実に把握されることになります。


収入と比べて相続人名義の預金や財産が不自然に少ないといったケースは要注意です。

 

ここ数年で、税務署のIT技術は、凄いスピードで格段に進歩向上しています。


名義預金に関しては、隠す・躱す(かわす)なんてことはできません。


黙っていたらわからないなんてことはありません!くれぐれもご注意ください。