- 2022.01.02(日)
- 相続
相続対策したい方必見!やっておくべき4つの対策
相続対策って何をやればいいの?
「相続や老後の対策をしたいけれど、具体的にどのように進めていけばよいか分からない」
現金や不動産などの財産をお持ちの方で、こうしたお悩みの方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、押さえておきたい4つの相続・老後対策について解説していきます。
目次
1.相続対策
相続や老後の対策には、押さえておくべきポイントや注意点があります。
相続対策としてやっておくべき対策は、次の3つです。
- わける(分割対策)
- 用意する(資金対策)
- へらす(節税納税)
さらに、人生100年時代と言われる中で、もう一つやっておくべき対策があります。
それは、自分の介護や認知症にそなえる対策(老後対策)です。
こうした相続・老後対策は、はじめる時期が早ければ早いほど効果があります。
そのため、できるだけ早く計画を立て、実行に移すことをおすすめします。
1)分割対策
相続対策と聞くと、税金対策を思い浮かべる方も多いかもしれません。
でも、実際は違います。
相続対策=相続税対策ではありません。
相続対策の中の1つに、節税や納税資金といった「相続税」対策があるのです。
そして、上記で確認した3つの相続対策のうち、最も重要なのが分割対策です。
なぜなら、「誰に何をどれくらい相続するのか」が決まらないと、相続手続きが先へ進まないからです。
実際に、相続の現場では、遺産の分配をめぐって親族間で争いが発生したり、家族関係にヒビが入ってしまうケースも少なくありません。
こうしたトラブルを防ぐためにも、生前から対策を行うことが大切です。
分割対策の具体的な方法には、次のようなものがあります。
- 遺言を残す
- 生前贈与を行う
① 遺言を残す
相続時の遺産分割の揉め事を減らす方法のひとつが「遺言」です。
遺言とは、被相続人の最終意思表示として利用できる方法です。
遺言を残すことで、相続財産の承継に関する意思を表明することができます。
たとえば、遺言に「配偶者には現金1,000万円、子供には自宅の土地と建物を相続させる」といったような内容を記載します。
このように、遺言は、被相続人が自分の財産の分配を思うように決めることが可能です。
相続人ではない人に財産を残したり、法定相続分と異なる分配を指定することができます。
反対に、相続人にとって不公平に感じる遺言になっているケースがあるかもしれません。
しかし、形式的に有効ならば、基本的には遺言の内容に従って相続されることになります。
② 生前贈与を行う
もう一つは、生前贈与を活用する方法です。
遺言は、財産の承継が被相続人の死後に行われます。
それに対して、生前贈与は、その名の通り、被相続人の生前に財産を渡すことが可能です。
この生前贈与のメリットは、何といっても、被相続人が元気なうちに「直接、本人自ら財産を渡せる」点にあります。
したがって、被相続人の意思を思った通りに反映できるほか、上手に行えば、相続税対策にもつながります。
2)資金対策
分割対策と同様に忘れてはいけないのが、資金対策です。
資金対策とは、「相続時に必要なお金を確保する」ことです。
それでは、相続時に必要なお金とは何でしょうか?
これには、大きく分割資金と納税資金の2つがあります。
① 相続時に必要な2つの資金
ⅰ.分割資金
分割資金とは、遺産分割の際に用いる調整資金です。
相続財産は、つねに相続人の頭数で綺麗に分割できるものばかりではありません。
そうですね。
例えば、土地なんかをイメージしてもらうと良いと思います。
不動産などは、現金のように「一人100万円ずつ」というわけにはいきません。
そこで、遺産の中に分けにくい財産がある場合、現物で財産を取得した相続人が、他の相続人に対して金銭を支払って調整するという方法があります(これを代償分割といいます。)。
相続財産の状況によっては、こうした遺産分割を見越して、事前に調整資金を用意しておく必要があります。
ⅱ.納税資金
納税資金とは、相続税を納めるためのお金です。
相続税の納付期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。
しかも、納税は金銭での一括納付が原則になります。
「納期期限の間際になって、急に多額の相続税を用意しなければならない。」
もし、そんなことになった場合、簡単にお金を準備できる方ばかりではないでしょう。
「先祖代々の大切な不動産を手放さないといけない!」
場合によっては、そういった方もいらっしゃるかもしれません。
それでもまだ、売却や換金ができるなら良い方です。
多くの場合は、直ぐには売れなかったり、買いたたかれたりと、必要なお金を希望するタイミングで用意することは困難です。
そこで、相続税がかかる場合は、相続人の方々が困らないように、納税資金を事前に確保しておきましょう。
② 資金を用意する方法
さて、それでは相続に必要な資金を用意するには、どんな方法があるでしょうか。
これには、次の2つの対策が考えられます。
- 生前に資金を増やす方法
- 相続時に資金を取得する方法
それぞれ順番に見ていきましょう。
ⅰ.生前に資金を増やす方法
資金を増やすための最も手っ取り早い方法は、所有する財産などを売却することです。
ただし、事業や生活で使っている資産を売却することはできません。
したがって、不動産であれば、空き地などの遊休資産をお持ちの方が選択できる方法です。
また、アパートやマンションを賃貸し、家賃収入で資金を確保するという方法もあります。
しかし、いずれの方法もコストがかかります。
不動産を売却すれば、譲渡所得利益に対して所得税が発生します。
登記や測量、売買に際しての仲介手数料といった移転に伴う費用の負担もバカになりません。
さらに、収益物件を立てるとなれば、当然多額の建築や維持費用がかかります。
このように、必要資金を資産の売却や運用で捻出する場合は、いろいろな検討が必要です。
ⅱ.相続時に資金を取得する方法
繰り返しになりますが、相続税は金銭一括納付が原則です。
(実は、延納や物納という納税方法もあります。しかし、こちらは手続きが複雑なため、今回は言及しません。)
ですから、相続税を現金を納める際には、どうしてもお金が必要になります。
その資金を相続時に取得する最善な方法の一つが、「生命保険」を活用することです。
生命保険のメリットは、相続時にまとまったお金を直ぐに取得できる点にあります。
また、生命保険金は受取人の固有の財産です。
したがって、ほかの相続人と遺産分割の必要がないこともメリットです。
さらに、活用次第では、相続税の軽減効果も期待できます。
つまり、生命保険は、分割対策にも資金対策にも節税対策にも使えるおすすめの方法です。
3)節税対策
「誰に何をどう残すか分け方も決まった」=分割対策OK
「相続の際に必要なお金も用意できた」=資金対策OK
さぁ、ここまでできたら、せっかくです。
相続税の負担も少なくなるように節税対策をしてみましょう。
実は、相続対策で一番気になるのが、節税対策って方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
相続税を減らす方法は、
A.相続財産を減らす
B.相続財産をなくす
のどちらかです。
そのための具体的な方法には、以下のようなものがあります。
- 生前贈与を活用する
- 控除額や非課税枠を活用する
- 不動産を活用する
① 生前贈与の活用
生前贈与は、相続財産自体を減らすために、よく活用される方法です。
「でも、贈与すると贈与税がかかるんじゃないの?」
これを読んでいる方の中には、そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、暦年課税制度を利用すれば、年間110万円までの贈与には贈与税はかかりません。
それでは、この110万円の非課税枠を活用して、贈与を何年も続けていったらどうでしょう?
被相続人の現金・預金や不動産などを生前に相続人などへ移すことができますね。
つまり、相続税の対象となる財産が被相続人の手元から減少しますので、結果的に節税へと繋がるわけです。
さらに、住宅資金や教育資金、結婚子育てなどの特別な目的で行う贈与には、条件や期限付きの特例制度があります。
こうした贈与の特例要件に該当する方は、積極的に利用して、多額の財産移転を検討してみても良いでしょう。
② 控除額や非課税枠の活用
相続税には大小含めて、さまざまな控除や非課税の特例があります。
相続税を減らすためには、こうした「お値引き」制度を積極的に活用すべきです。
その一つとして、生命保険に加入して非課税枠を活用する方法も有効です。
そもそも生命保険は、大事な家族が亡くなったときに、遺族が困らないようにするものです。
また、相続税には、相続人が受け取る死亡保険金に対して、相続税がかからない下記の特別枠が設定されています。
死亡保険金の非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の数
たとえば、相続人が3名いた場合には、1,500万円までは控除の対象となります。
ですから、手元の現金に余裕がある方にはおすすめの相続税対策です。
しかし、どんな死亡保険金でも対象かというと、残念ながら違います。
今回の非課税枠は、次のような保険契約のケースが対象になります。
- 保険契約者:被相続人
- 被保険者:被相続人
- 保険金受取人:相続人
- 保険料負担者:被相続人
生命保険は加入の仕方や条件、保険内容が多岐にわたります。
活用する際は、よく見極めたうえで利用したいところです。
③ 不動産を活用する
3つ目は、不動産を活用するという方法です。
こちらは、財産そのものを減らす方法ではありません。
相続時の財産の評価額を減らす対策になります。
たとえば、不動産を活用した相続税対策としては、以下のような方法があります。
ⅰ.現預金から不動産への「組み替え」
相続税の計算上、財産の種類ごとに評価の方法が定められています。
これを財産評価基本通達といいます。
この取り決めによって評価した場合、土地は現金の約80%程度の評価額になります。
さらに、持っている不動産を賃貸したり、余っている土地に賃貸マンションを建設したりすることで、更地もしくは自用の場合よりも、さらに財産の評価額を引き下げることが可能です。
つまり、現預金よりも不動産で所有・活用した方が、相続税の対象になる財産価値は低くなるんです。
そこで、余剰資金があれば、現金を不動産に「組み替えて」おくことで、相続税の軽減効果が期待できることになります。
ただし、不動産には価値の変動や所有の負担やリスクがあります。
ですから、税金だけでなく総合的な判断が必要です。
ⅱ.小規模宅地等の特例の活用
小規模宅地等の特例とは
小規模宅地等の特例とは、被相続人のご自宅の敷地や事業用地について評価の減額が認められる制度です。
ただし、所有する土地ならば、すべて「お値引き」の対象になるわけではありません。
たとえば、ご自宅の敷地であれば、330㎡までの部分について評価額が80%減額される。
しかし、この場合には、土地を相続するのが、配偶者か生前に被相続人と同居していた相続人であることなど、いくつかの要件を満たさなければなりません。
また、特例を受けられる土地が複数あった場合も、すべての土地で適用できるわけでもありません。
さらに、土地の区分よって、減額される割合や面積、要件が異なります。
したがって、利用に際しては十分な試算や検討が必要です。
でも、この制度を上手に活用していただくことで、節税効果を期待できます。
小規模宅地等の特例の区分
区分(用途) | 特定住居用 |
特定事業用 |
貸付事業用 |
適用面積 | 330㎡ 約100坪 |
400㎡ 約120坪 |
200㎡ 約60坪 |
減額割合 | 80% (20%評価) |
80% (20%評価) |
50% (50%評価) |
主たる要件 |
|
|
|
|
2.老後・介護対策
最後にもう一つ、人生100年時代の相続対策としてお願いしたいことがあります。
それは、相続対策に先駆けた老後・介護対策です。
「亡くなった後も心配だけど、 自分の老後はもっと心配…」
そんな不安はないでしょうか?
対策を進める上で、老後と相続のことは分けて考えてはいけません。
老後と相続は合わせて対策しないとダメなんです。
相続の手前の老後でつまずいてしまうと、相続対策までたどり着くことができません。
人生100年時代の現在、老後対策なしには相続対策って成立しないんです。
そこで、将来の介護や認知症のリスクに「そなえる」という老後対策をぜひお願いします。
3.まとめ
今回の記事では、分割対策・資金対策・節税対策の3つ相続対策に加えて、老後・介護対策について解説しました。
相続や老後対策について、比較的取り組みやすい方法をご紹介しました。
でも、「もっと詳しく知りたい」と感じた方もいらっしゃるでしょう。
そんな時には、相続専門の税理士が主催する「相続セミナー」がおすすめです。
このセミナーでは、相続に詳しい税理士が、分かりやすく相続のイロハについてお伝えしています。
ぜひ、お気軽に参加してみてください。