- 2022.01.16(日)
- 相続
- 不動産
不動産の相続にはどのような手続きが必要?相続方法を徹底解説!
相続財産に不動産が含まれる場合、遺産分割が複雑になってしまうことがあります。
その結果、知らない間に損をしたり、他の相続人とトラブルになったりするなんてことも少なくありません。
しかし、相続は人生で何度も経験するものではありません。
だからこそ、損失やトラブルを最小限に抑えて、なるべくスムーズに手続きを進めていきたいものです。
そこで今回は、「不動産の相続にあたってどのような手続きが必要なのか?」「不動産の円滑な相続を行うためにはどうしたら良いのか?」といった疑問に答えていきます。
目次
1.不動産の相続にはどのような方法がある?
初めて相続を経験する方の中には、「不動産の相続の仕方がよく分からない」と感じている人も多いのではないでしょうか。
そこで、まずは不動産を相続する方法について見ていきましょう。
不動産を相続するためには、以下のような4つの方法が考えられます。
- 現物分割
- 換価分割
- 代償分割
- 共有名義での相続
それでは早速、それぞれの内容について解説していきます。
1)現物分割
1つ目は、現物分割です。
名前の通り、不動産を含む財産を現物のまま相続する方法になります。
【具体的にはどんなケース?】
これは、複数の不動産を各相続人が単独で相続するような場合が該当します。
たとえば、遺産であるAとBという土地について、「兄がA」「弟がB」を相続するようなケースです。
このように見ると、現物分割は非常に単純な方法のように見えるかもしれません。
しかし、両者の不動産の評価額は必ずしも同額とは限らず、評価額の少ない不動産を相続した人が不満に思うケースも多々あるようです。
2)換価分割
2つ目は、換価分割になります。
これは、相続財産である不動産を売却して現金化した上で相続を行う方法です。
この売却で得られたお金を相続人で分割することになります。
【具体的にはどんなケース?】
6,000万円の価値の不動産を売却して、2人の相続人が3,000万円ずつ現金を分け合うようなケースです。
「不動産としての相続は望んでいない」「相続税の資金が用意できないため現金化したい」といった場合によく利用される方法です。
なお、遺産である不動産を売却することで税金が発生します。
相続登記に必要な登録免許税、不動産の売買契約書に貼る収入印紙、そして、売却に伴う譲渡所得税です。
この譲渡所得税は、非常に高額になることがあります。
そのため、換価分割を行う上では注意が必要です。
3)代償分割
3つ目は、代償分割です。
これは、相続財産を現物で取得した相続人が、他の相続人に代償金を支払って調整する分割方法になります。
分けにくい相続財産がある場合に用いる分割方法のひとつです。
【具体的にはどんなケース?】
たとえば、5,000万円の価値のある土地を子供二人(兄と弟)で相続する場合で考えてみます。
兄が土地を全て相続してしまうと、弟の取り分はありません。
でも、土地は共有ではなく兄が単独で相続したい。
そこで、兄が土地を相続する代わりに、弟へ2,500万円の代償金を支払うというものです。
なお、この事例では、5,000万円を折半したことになります。
しかし、当事者間の合意があれば、代償金が均等である必要はありません。
4)共有分割
4つ目は、相続人が共同で共有名義にて相続する方法です。
不動産の相続と聞くと、「単独名義」での分割をイメージする方が多いかもしれません。
でも実は、複数の相続人で「共有名義」とすることも可能です。
そして、共有分割の場合には、各相続人の持分割合を登記しなければなりません。
【具体的にはどんなケース?】
たとえば、被相続人が所有していたマンションを子ども3人で共有所有するケースなどが該当します。
一見、共有名義で所有すれば、
「揉めることが少なそう」
「登記費用をみんなで折半できるからコスト的にもメリットが大きい」
と考える方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、共有不動産を第三者に貸す場合には、過半数の同意が必要です。
さらに、売却となれば、共有名義者全員の同意が必要になります。
つまり、不動産の共有は、かえってトラブルの原因になりかねません。
2.不動産を相続するための手続き
これまでのところで、不動産を相続する4つの方法について確認することができました。
そこで、続いては具体的な手続きについて見ていきましょう。
それでは先ず、不動産相続の手順から説明していきます。
なお、ここでの内容は不動産に限りません。いわゆる相続全般に係る手続きとなります。
1)遺言書があるか確認する
相続が発生したら、まずは遺言書の有無を確認します。
遺言書がある場合には、その内容に沿って相続が行われます。
また、遺産分割協議のあとに遺言書が見つかった場合にも、原則、遺言書の内容が優先されることになります。
2)相続人を確定する
誰が相続人となるのか早急に確認します。
相続人を調べるためには、被相続人の戸籍謄本を取り寄せる必要があります。
もし、戸籍謄本を確認した結果、新たに相続人が見つかった場合には、遺産分割協議をやり直さなければなりません。
3)財産目録を作成する
相続人の調査と並行して、被相続人の財産目録を作成する作業も必要です。
財産目録とは、相続財産の内容を一覧で分かるようにまとめたものです。
遺産分割を行うためには、被相続人の財産の正確な把握が不可欠です。
また、遺産分割がまとまらない場合は、家庭裁判所へ調停の申し立てを行います。
その際に、裁判所から遺産目録(相続財産目録)の提出が求められます。
なお、不動産の所有状況は、「固定資産税の納税通知書」か「名寄帳」で確認することが可能です。
4)遺産分割協議を行う
基本的に、遺言書がある場合には、遺言の内容に沿って相続手続きが行われます。
しかし、遺言書がない場合には遺産分割協議を行い、「どの財産を、誰が、どれだけ相続するのか」を決めなければなりません。
そして、全ての相続人から協議内容について合意が得られたら、遺産分割協議書を作成します。
また、相続で不動産を取得した場合には、相続登記が必要になります。
相続登記とは、被相続人が所有していた土地や建物の名義を相続人へ変更するための手続きです。
なお、相続登記には、原則として以下の書類が必要です。
ただし、個別の事情によって提出すべき書類が異なりますので、ご注意ください。
相続関係に関する書類
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍)
- 被相続人の本籍地の記載がある住民票の除票(又は被相続人の戸籍の附票)
- 法定相続人全員の現在の戸籍謄本
- 被相続人の本籍地の記載がある住民票の写し(又は法定相続人の戸籍の附票)
不動産に関する書類
登記事項証明書(登記簿謄本)
不動産相続や売買において欠かせない書類の一つです。
土地の面積や所在地、所有者など、不動産の権利情報が記されています。
不動産の状況把握のために使用されます。
全国の法務局で取得することが可能です。
固定資産評価証明書
不動産登記に使用される書類の一つです。
登録免許税を計算するために使用されます。
不動産の所在地がある市町村役場の税務課(東京23区であれば都税事務所)で取得できます。
なお、相続登記をせずに放置された不動産が急増し、現在、問題になっています。
そのため、2024年4月1日以降は相続登記が義務化され、罰則が設けられることになりました。
先代の相続登記が行われていないような場合は手続きも大変です。
至急、対応するようにしてください。
5)相続税の申告と納付をする
相続税の申告と納付期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。
この期間を過ぎてしまうと、相続税の特例が受けられなくなります。
さらに、延滞税などの余分な税金が発生する場合もあります。
3.不動産の相続にかかる税金
それでは最後に、不動産相続にかかる税金について確認しておきましょう。
不動産を相続する際に発生する主な税金は、以下の2つです。
- 相続税
- 登録免許税
1)不動産の相続と相続税
相続税は、不動産だけでなく、遺産の総額から基礎控除額をマイナスした金額に対して課税されます。
課税価格を出すためには、現金・預貯金・不動産・有価証券・投資信託・生命保険・貴金属などをそれぞれ時価で評価し、遺産総額を算出するところからスタートします。
ただし、遺産にはさまざまなものが含まれるほか、それぞれに評価方法があるため、正確な価格を算出するのは簡単ではありません。
2)不動産の相続と登録免許税
相続登記をする場合、登録免許税を支払わなければなりません。
登録免許税は、登記手続きの際に国に納める税金であり、その税額は、土地や建物の固定資産税評価額に税率をかけて計算します。
なお、その場合の税率は、登記の種類ごとに異なります。
【相続登記の登録免許税の計算方法】
・登録免許税=不動産の価格(課税額)×税率0.4%
この場合の不動産の価格(課税価格)は、「固定資産評価証明書」に記載された金額です。
なお、不動産の評価額が1,000円以上の場合には、1,000円未満を切り捨てた額で計算されます。
また、平成30年4月1日から令和7年3月31日までは、相続による土地の所有権移転登記について、2つの免税措置が設けられています。
4.まとめ
今回の記事では、不動産の相続に関する分割方法や手続き、必要書類、そして税金について解説しました。
不動産の相続にあたっては、財産目録の作成や遺産分割協議書の作成のほか、登記事項証明書・固定資産評価証明書といった書類を用意しなければなりません。
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