BLOG相続ブログ
2022.01.30(日)
相続
贈与
税務調査
名義預金

マイナンバーで預金情報は丸見えに?

マイナンバーで預金情報は丸見えに?

 

 マイナンバーと言えば、

誰もが「あ~」というくらい 制度としては浸透していますね。  

 

このマイナンバーが 私たちの預金情報に

どう影響してくるのでしょうか?  

 

あくまでも、私見であり可能性ですが、

想定される今後の展開を考えてみます。  

 

1.マイナンバー制度とは

 

マイナンバー制度とは、

社会保障、税金、災害での利用も目的に創設されました。  

 

日本で住所登録をしている人を対象に、

12桁の番号を割り振って管理が行われます。  

 

 

 

1)銀行口座へのマイナンバーの紐づけ

 

実は、マイナンバー制度、

開始されて早々に改正法が成立しています。  

 

それは、2018年1月より

銀行口座へマイナンバーを紐づけしていくというものでした。  

 

これは、上記でも示したとおり、

社会保障や税に関する公平な負担と給付を目的としています。  

 

しかし、2018年1月になったら

すぐに口座へ附番されていくのかというと、

そうではありませんでした。  

 

開始から3年の間は任意で銀行へ告知し、

その後、2021年からは義務付けという改正内容でした。  

 

 

2)新型コロナとデジタル庁

 

これに対して、

私たちがどの程度の預金を所有しているか、

国や行政に把握されてしまうのではと、

大きな関心を集めました。  

 

また、世界中を巻き込んだ

新型コロナウイルス感染症の爆発的な拡大もありました。  

 

こうした点を踏まえて、

政府は方針を変更しました。  

 

国民からの強い反発や個人情報の保護などを考慮したのです。  

 

その結果、2021年以降も

銀行口座へのマイナンバーの紐づけは

義務化とはなりませんでした。  

 

その対応は、あくまでも希望する利用者のみ

とすることに変更されています。  

 

具体的には、

2021年9月に発足したデジタル庁の発足に伴い

施行されたデジタル改革関連法で、

マイナンバー制度の拡充が図られています。  

 

  1. 医師免許等の国家資格に関する事務へのマイナンバーの利用の範囲の拡大
  2. マイナンバーカードの機能(電子証明書)のスマートフォンへの搭載
  3. 任意で公金受取のための口座をマイナンバーとともに登録し、緊急時の給付金などの受取に当該口座が利用できる仕組みの創設
  4. 預貯金者の同意のもと、一度に複数の金融機関の口座にマイナンバーの付番ができる仕組みや、相続時や災害時に預貯金口座の所在を確認できる仕組みの創設

などです。  

 

3)預金口座の管理等に関する法律

 

デジタル庁のスタートに伴い、

国会では預貯金口座の管理について検討が進められました。  

 

第204回 通常国会「公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案」概要資料1頁より

デジタル社会形成基本法案に定めるデジタル社会の形成についての基本理念にのっとり、行政運営の効率化及び行政分野におけるより公正な給付と負担の確保に資するとともに、預貯金者の利益の保護を図るため、預貯金者の意思に基づくマイナンバーの利用による預貯金口座の管理に関する制度及び災害時又は相続時に預貯金者又はその相続人の求めに応じて預金保険機構が口座に関する情報を提供する制度を創設する。

 

その結果、

預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律

が定められています。

 

 

 

2.マイナンバー附番の義務化による影響

マイナンバーの銀行口座への附番の義務化で、預金情報は税務署に筒抜け?

それでは実際に、

マイナンバーと銀行口座の紐づけにより、

どのようなことが想定されるでしょうか?  

 

あくまでも想像の域を超えませんが、

もし今後、銀行口座へのマイナンバーの附番が義務化されれば、

次のようなこと影響が考えられると思います。  

 

 

1)株式投資や副業の発覚

 

例えば、投資運用やネット副業などの収入は、

今まで以上に捕捉されやすくなるでしょう。  

 

ですから、今までは所得が発生しているにもかかわらず、

確定申告をしていなかったような方は注意が必要です。  

 

もちろん、マイナンバー云々に関係なく、

所得があれば申告納税は必要です。  

 

将来的に義務化となれば、

マイナンバーが紐づけされた銀行口座への入出金について、

これまで以上に、

税務署はその詳細の把握が可能になるでしょう。  

 

ただし、マイナンバーで口座情報を把握できるのは政府だけです。  

 

行政機関が、会社に従業員の預金残高や口座情報を伝えることはありえません。  

 

勤務先が、マイナンバーを利用して、

従業員の口座情報を知り得ることもありません。  

 

もし、マイナンバーを用途以外で使用した場合は、

会社に対して罰則が科せられます。    

 

 

2)マイナンバーとタンス預金の増加

 

マイナンバーと銀行口座の紐づけにより、

タンス預金が増加を予想する声が多くありました。  

 

これは預金情報が税務署などの機関に

流れてしまうことを懸念したためです。  

 

でも、今回のデジタル改革関連法の流れでは、

あくまでも預金者の意思に基づく部分的な口座管理です。  

 

したがって、預金情報が国に全て把握されるわけではありません。  

 

しかし、いつまでも子の取り扱いかどうかはわかりません。  

 

だからといって、

資金情報の補足を心配して

タンス預金やへそくりを検討することは、

個人的にはおススメしません。  

 

なぜなら、タンス預金やへそくりであっても、

その保有額や詳細を課税等当局は、

かなりの精度で補足してくるからです。  

 

最近は、不自然な出金記録やバランスを欠いた資産構成は、

KSKシステムでピックアップされ、

相続税の税務調査で、

かなりの精度で申告漏れが指摘されています。  

 

 

3)名義預金から大口贈与発覚

 

ここからは、私の大胆予想です。

 

結果については保証できませんのでご了承ください。

 

今後、銀行口座へのマイナンバーの附番が義務化されることで、

名義預金の顕在化が増えるのではないかと思っています。

 

名義預金の顕在化とは、

言い換えれば、

大口贈与の成立と申告漏れです。

 

もし今後、

マイナンバーの附番が義務化されたとします。

 

今は、もう本人でなければ、

銀行窓口で何もできません。

 

名義預金を保有するお父さんは、

その預金から出金することも解約することもできません。

 

義務化の施行に伴い、

いよいよ名義預金を放置しておけなくなったお父さん。

 

このままではいけないと、

子供に名義預金の存在を明かし、

銀行での附番手続きを促します。

 

ここまでの流れは問題ないでしょう。

 

ただし、その手続きの流れで、

名義預金の存在も伝えてしまったことだし、

附番手続きも本人が進めたのだからと、

このタイミングで、

子供に名義預金を渡してしまったらどうでしょう。

 

その時点で、

その預金残高で

生前贈与が成立します。

 

「あげる」「もらう」の合意ですね。

 

恐らく、何百万、何千万単位での

贈与が成立することになります。

 

 

瞬時にわかる贈与の成立と申告漏れ

 

これまで、

贈与の有無に関しては、

相続税の税務調査で

発覚したり問題視されてきました。

 

でも、今後についてはどうでしょう。

 

課税当局がマイナンバーで

口座情報の詳細を直ちに把握ができるとしたら?

 

その際に、

分不相応な預金残高や

源泉が不明な入金の記録を発見したら?

 

こんな具合に、

マイナンバーの附番が義務化となれば、

1年前の生前贈与の成立や贈与税の申告漏れが

直ぐに補足され指摘される時代が来るのではないかと

戦々恐々としています。

 

3.おわりに

 

今回は、マイナンバー附番の義務化が与える影響について確認しました。

 

あくまでも、可能性であり、

将来の改正を予測するものではありません。  

 

ただし、革新的にIT化が普及・進化していく中で、

適正な税務執行を行うとすれば、

預金情報を補足できる法整備や対応は

十分に考えらると思います。  

 

そのために大切なのは、

「把握されるからわからないように」ではなく、

「補足されても何ら問題ない」といった

建設的な姿勢で対策に取り組んでいくことです。  

 

「法律はどのように変わっていくのか…。」

 

「これからの相続対策をどう進めたら良いだろう?」  

 

そういったご心配やご関心がありましたら

ぜひ一度、相続セミナーに足をお運びください。

 

最近の相続現場の動向や対策について、

私がご説明いたします。