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2022.01.08(土)
相続

相続人って誰のこと?相続人の範囲や順位を徹底解説

相続人って誰のこと?相続の範囲や順位について徹底解説

相続人と聞いて、誰のことをイメージしますか?


親族が亡くなり相続が発生した場合に、「遺産を引き継げる可能性がある」というのはよく知られた話です。

 

しかし、「誰が相続人になるのか?」「どこまでが相続人の範囲なのか?」といった部分を迷う方は多いのではないでしょうか。

 

実は、遺産を引き継ぐ人の範囲や順位などは民法で細かく定められています。

 

つまり、民法をひも解けば、どのような場合に、誰が、どこまで遺産を引き継ぐことができるのか、を理解することができるのです。

 

そこで今回は、「そもそも相続人とは誰を指すのか?」「相続の順位や割合はどう決まるのか?」といった内容について、詳しく解説していきます。

1.相続人とは「遺産を引き継ぐ人」のこと

1)どういった人が相続人になるの?

相続人という言葉を聞いたことがあるでしょうか。


名前の通り、相続人とは「被相続人の遺産を引き継ぐ(相続する)人」のことを意味します。

 

2)遺言あり?なし?相続で考えられる3つのパターン

一般的に相続が発生した際、考えられるケースには主に3つのパターンがあります。

 

  • 「誰にいくらの財産を渡す」と指示がある遺言書がある場合
  • 遺言書はあるものの遺産相続の記載がない場合
  • 遺言書がない場合

 

相続では原則「遺言書の内容が優先される」ため、遺書の中に細かい指示が記載されている場合には、その内容が優先されることとなります。

 

一方で、遺言書があっても相続の内容に触れていなかったり、そもそも遺言書がなかったりする場合には、民法で定めた相続人が遺産を相続します(その場合には、相続人のことを「法定相続人」と呼ぶ)。

 

3)法定相続人と推定相続人と相続人

同じように思えますが、正確には三者の意味は異なります。


法定相続人は「相続できる人」。


推定相続人は「相続するはずの人」。

 

相続人は「実際に相続した人」のことです。

 

「法定相続人」とは、被相続人の財産を相続できる人です。

 

これは民法という法律で定められています。

 

法定相続人になれるのは、被相続人の配偶者と血族です。

一方で、「推定相続人」とは、相続人になるであろう人のことです。

 

あくまで、相続が発生すると仮定した場合の予測なので「推定」となります。

 

推定相続人の考え方は法定相続人と同じです。

 

相続前なら推定相続人、相続開始後は法定相続人と呼び方が変わるイメージです。

これに対して、実際に相続することになった人を「相続人」といいます。

 

法定相続人(推定相続人)であっても、財産を相続しない(できない)人もいます。

 

例えば、「私は相続したくない」と相続放棄をするケースがあります。

 

他には、不正事由により相続権がなくなる相続欠格などに該当する場合です。


ですから、必ずしも法定相続人(推定相続人)= 相続人というわけではありません。

 

2.相続の順位はどうやって決まる?

相続の順位はどうやって決まる?

相続人には、被相続人の配偶者および血族にあたる人が該当します。

 

それでは、「誰が」「どの順番で」「どれくらいの割合を受け取れる」のでしょうか。

 

それらは、それぞれ民法によって決められています。

 

1)被相続人の配偶者

相続開始の時点で配偶者が存在している場合、その人は「常に相続人」となります。

 

ただし、ここでいう配偶者は「あくまでも法律婚をしている人」のみとなります。

 

事実婚などの場合は、取扱いが異なりますので注意しておきましょう。

 

2)被相続人の血族

血族に関しては、被相続人に近しい人(直系→兄弟姉妹)から相続順位がつきます。

相続順位

1番目:子・孫・ひ孫といった直系の卑属
2番目:両親(父母)、祖父母。曾祖父母などの直系尊属
3番目:兄弟姉妹
4番目:兄弟姉妹が亡くなっている場合の甥や姪

 

3)相続順位は1番目の人から優先される

1番目の順位の人は配偶者と共に必ず相続人となります。


2番目の人は1番目に該当する人がいない場合に相続人となります。


そして、1番目・2番目に該当する人がいない場合には、3番目が相続人となります。


さらに、1~3番目が誰もいない場合には、甥や姪が相続人となるケースもあります。

 

3.相続人の相続割合

ここまで相続の範囲について解説してきました。


みなさんの中には「相続割合がどうなるのか気になる」方もいらっしゃることでしょう。

結論から言えば、相続の割合は「相続人の順位に応じて変わる」ことになります。

 

具体的な事例で見ていきましょう。

 

1)相続割合の具体例

ケース1:配偶者が1人・子どもが1人の場合
→配偶者と子どもで1/2ずつ分割

 

ケース2:配偶者が1人・子どもが3人の場合
→配偶者が1/2、残りの1/2を子ども3人でさらに等分する

 

ケース3:子ども2人だけの場合
→子ども同士で1/2ずつ分割

 

ケース4:被相続人に子どもがおらず、配偶者と親がいる場合
→配偶者が2/3、両親が1/3(両親ともに健在の場合には、1/3をさらに2等分する)

 

ケース5:被相続人に子どもがおらず、配偶者と兄弟姉妹がいる場合
→配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4(兄弟姉妹が複数いる場合には、1/4をさらに人数で等分する)

 

ここで押さえておきたいのは、被相続人が死亡した場合に、健在な親族が配偶者・子ども・孫・両親といた場合でも、実際に相続人となれるのは「配偶者と子どものみ」である点です。

 

つまり、孫や両親は相続人となることはできませんので、気を付けたいところです。

 

2)代襲相続と法定相続人

また、相続が発生した際に、相続人である子がすでに亡くなっていたとします。

 

この時に、健在な親族が配偶者・孫・両親だった場合、誰が法定相続人でしょう?

 

民法上の規定では「配偶者と孫」が法定相続人になります。


このように、本来受け取るはずだった子どもに代わって孫が相続人になることを、「代襲相続」と言います。

 

ちなみに、「代襲相続」は被代襲者が死亡したケース以外にも、相続欠格や相続破棄などで相続権がない場合にも、適用される場合があります。

 

3)相続人が未成年の場合

なお、いずれのケースでも「相続人が未成年の場合」には、代理を立てなければなりません。

 

なぜなら、未成年は原則として法律行為(遺産分割や相続など)を単独で行うことは認められていないためです(未成年で結婚している場合は除く)。

 

通常、親は子の法定代理人となりますが、相続においては親子が利益相反関係となるため、この場合においては家庭裁判所にて「特別代理人選定の申し立て」を行う必要があります。

 

ただし民法の改正で、2022年4月1日より成人年齢が引き下げられることに伴い、18・19歳の相続人は「成人」として扱われるようになります(17歳以下が未成年者となる)。

 

つまり、18歳になれば遺産分割協議に参加し、自らの意思表示を行うことが可能です。

 

現時点で相続人の中に未成年の方がいる場合には覚えておくと良いでしょう。

 

加えて、生前において被相続人と懇意にしていた以下のような人たちも、遺言書で遺産の受取人に指定されていない場合には、遺産を受け取ることはできません。

  • 離婚した元配偶者
  • 内縁関係の妻
  • 配偶者の連れ子(養子縁組をしていない)
  • 被相続人の姻族
  • 相続の順位により法定相続人から外れる者

 

ただし、民法の改正(2019年7月1日以降~)により、一定の親族は要件を満たすことで「特別寄与料」を相続人へ請求できるようになっているため、遺言書がない場合には検討してみるのも一つの手です。

 

4.相続人と相続を把握する手続き

相続人を把握するための手続き

1)遺言の確認

相続が発生した場合、まずやらなければならないことは「遺言書があるかどうかを確認すること」です。

 

言書は、自宅にある場合のほか、銀行や弁護士、税理士などに預ける場合や、法務局で自筆証書遺言を保管する場合など、さまざまなケースがあるため、あらゆる可能性を検討しておきましょう。

 

見つかった遺言書は開封することなく、家庭裁判所に提出し、検認の申し立てを行う流れが一般的です。

 

2)相続人の特定

加えて、相続する可能性のある人物を確認する作業も同時進行で行わなければなりません。

 

近年は、家族形態が複雑化していることもあり、思いもよらぬところに相続人がいる場合もあります。

 

その場合には、連絡先を突き止めて、相手にコンタクトを取ることも求められます。

 

遺産相続では、相続人に該当する全員分の戸籍謄本が必要となるため、時間も手間もかかることを、覚えておきましょう。

 

5.まとめ

今回の記事では、「そもそも相続人とは誰を指すのか?」「相続の順位や割合はどう決まるのか?」といった内容について、詳しく解説していきました。

 

遺産相続をすることが決まったら、まずは、相続人を把握するための手続きから始めなければなりません。

 

しかし、相続人の把握は思った以上に時間も手間もかかるため、大変な思いをするケースも多々あります。

 

直前になってアタフタすることがないように、なるべく早いうちから相続の手続きや方法について理解しておくことが大切です。

 

最近では、相続に関するセミナーやイベントをオンライン上で聞ける機会も増えています。

 

相続についての見識を深めるためにも、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。